X:\archives\2007\10

20071031

投稿者: entasan @ 03:33

◇ネットワークのあれやこれや

[P1] RFIDタグデータ→.net形式変換
http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/member/2003/entasan/ucinet/logconvert2.cgi

[P2] タグ座標→タグ間距離計算
http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/member/2003/entasan/ucinet/distance2.cgi

[P3] .net形式→物理距離平均値計算(重み付けあり/なし)
http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/member/2003/entasan/ucinet/length.cgi

[P4] もろもろ分析
http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/member/2003/entasan/ucinet/analysis.cgi

※基本的にはP1でネットワークデータを生成して、UCINETで分析する!

[P5] .vna形式のデータ中の座標データを実際の座標に変換するプログラム
http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/member/2003/entasan/ucinet/posconvert.cgi

◇作業手順メモ

(1) 実験ログデータとタグデータリストを[P1]に投入して.net形式のネットワークデータを作成

(2) Pajekでこのネットワークデータを開き、Drawして円形のグラフを描き、これをそのまま保存する。これでとりあえず.netデータの整形と適当な(円形配置のときの)座標データが書き込まれる。

(3) NetDrawでこれを開く。FileメニューのSaveDataAs→Vna→Completeから、ダイアグラム中の4選択肢最上部「All nodes and ties 〜」をチェックし、保存。これにより、.vna形式のデータファイルが生成される。

(4) ここで生成された.vnaファイルとタグデータリストを[P5]に投入すると、ノードの位置が実座標に変換された.vna形式のファイルが生成される。ノードを実座標は位置したいときはこの手順を経ること。

(5) グラフを描画する場合、ここでノードの大きさ、色などを調整する。Ctrl+AしてからIso(Isolation)ボタンをクリックすると、非連結ノードが消える。画面上部のボタン操作により、ノードのラベル、リンクの矢印、紐帯の重さ、が非表示に出来る。

(6) FileメニューのSava Diagram AsでMetaFileを選択し、.emf形式で保存すると、ネットワーク図をイラストレータで扱うことの出来るベクトルデータとして書き出すことが出来る。ノードの座標をベクターワークスで拾った場合、上下の向きが反転してしまっているので編集メニューからリフレクト(水平軸に反転)を行い修正する。

20071030

投稿者: entasan @ 13:23

日本語化リファレンス
http://www.nihongoka.com/makepatch.html

20071026

投稿者: entasan @ 03:36

◇ある原稿

1. はじめに
1.1 テレワークをめぐる背景
 個人あるいは数名の集団で営利活動を行う「スモールオフィス」や、自宅の書斎を仕事場として数名の仲間で連携し合って営利活動を行う「ホームオフィス」というライフスタイルが「SOHO」という言葉とともに紹介されて10年あまりが経過した。かつて「SOHO」と呼ばれた就業形態は、現在では雇用/非雇用に関わらず、大まかに「テレワーク」と呼ばれ、情報通信技術を利用した、場所と時間にとらわれない働き方として認知されている。
 これが受け容れられてきた背景は、大きく分けて2点ある。
 第1点は、1990年代後半から2000年代初頭にかけて進行したモバイルコンピュータや携帯電話、ブロードバンドの普及、また、パーソナルコンピュータの高性能・低価格化などといった、いわゆる「テレワーク・インフラ」の整備と拡充がある。また、それらの普及を基盤として、ベンチャー指向の若年世代や、労働意欲の高いリタイア世代の起業形態の選択肢として採用されてきたことが挙げられる。また、近年では高齢者や障害者の社会参加、農山漁村での就業機会の拡大などにも、テレワークは寄与できると考えられており、幅広く社会から注目されるようになった。
 第2点は、「仕事も大事だが家庭も大切だ」という考え方に代表されるような、就業意識の変化が浸透してきたことが挙げられる。就業時間を自由に設定でき、満員電車によるストレスや疲労もなく、家族により近いところで仕事に従事できるテレワークは、労働以外の場面での「生活の質」の向上に寄与できるとされている。また、このことがかえって「労働の質」の向上にも資するとされ、このような見方が被雇用者と雇用者の双方で受け入れられつつある。近年ではこのような生活と仕事の均衡は「ワーク・ライフ・バランス」と呼ばれ、高く注目されている。
 これらの背景をもとに、政府主導によるテレワーク人口の拡大を推進してゆく政策――テレワーク人口倍増アクションプラン――が2007年に策定された文献1。そこでは、テレワーク・インフラや制度環境・推進環境の整備によるテレワーク人口の拡大を、政府が中心になって進めていくことが明記されており、これによって雇用者・被雇用者・行政の三者すべてにとってテレワークを受け入れる体制が整いはじめてきた。

1.2 テレワークにおける問題点 
 しかしながら、2001年の予測では、2006年には企業の50%がテレワーク就業を採用すると予測されていたものの、2007年の現時点では数%程度しか採用されていないのが実態である。その上、採用している企業であっても、一人で勤務する時間が長い部門や職種、期間が産休の前後などにのみ限定されているなど、被雇用者に対する認可条件が非常に厳しいことが指摘されている(文献2)。
 テレワークの採用が進まない原因として指摘されている点としては、まず、テレワークでは社内外での人と人のコミュニケーションがうまくとれないという点が挙げられている。それは単に「協働するチーム内でのコミュニケーションの取り方に困難がある」という報告だけではなく、「孤独感や孤立感を感じる」などといったこととしても報告されている。また、信頼関係の醸成に困難があることで昇進に影響を及ぼすのではないかという危惧を与えている。
 第二点としては、育児や介護などの理由によりテレワークを在宅で実施した場合、実際に勤務に当たれた時間と育児作業や介護労働などに割いた時間とが明確に区分しにくいことにより、賃金や経費の計算が困難であるという指摘がある。また、同じ理由により、勤務内容に集中できにくいという指摘もある。
雇用者、あるいは被雇用者の側からのこうした意見は、テレワークを採用するに当たって、懸念材料として働いているのは明らかである。

1.3 「アンビエント・アウェアネス」とは
 我々は普段の日常生活において、何気ない雰囲気や空気感、気配といったものを通じて他者の存在感や行動の様子などを察知して生活している。たとえば、階段を上がる足音や、トイレの水洗の音、車のエンジン音などといったものは、それが何を指し示すかを知るものにとっては他者の様子を感じるための重要な情報源となっており、情報と意味が構造化されて記憶されている。これは気心の知れた家族や仲間だけではなく、まったく面識のない他人との間にも発生する、コミュニケーションのひとつの形態であると考えられる。
 このように、音や振動、匂いなどといった、視覚以外の感覚によっても感知され、文字や記号といったものによって意味を明確に伝えるものではなく、それを感知する者の経験知や属する集団の暗黙知といったもので意味が定義される情報を認識する知覚構造を、ここでは「アンビエント・アウェアネス」と呼ぶこととし、これを種々のデジタルデバイスなどで実現するためのシステムを「アンビエント・アウェアネス・システム(AAS)」と呼ぶこととする。
 特に本研究では、自らの作業状況と空間を隔てて作業する他者の作業状況とを相互に伝達し合い、これを「音」に変換して提示する方法をAASにおいて採用し、これによって伝達される相手の状況に対する理解を促すものとした。

1.4 これまでの取り組み
 筆者らはこれまでに、限定された短期的な時間内において決められた作業を処理する場面を想定した状況でAASを用い、作業者相互のリアルタイムな状況伝達が作業の重複時間帯や作業への熱中度にどのような変化を及ぼすのかを検証する実験を行った(文献3、4)。
 その結果によると、同じ時間帯における作業への熱心度についてはAASがある場合とない場合とで有意な差が見られた。つまり、高度に統制された状況(作業に対する被験者の自由度が低い状況)において、AASは空間を隔てた二者の行動の同調を促す効果があったと考えられる。

2. 研究目的
 以上のような背景をふまえ、本研究はテレワークにおける「孤立感や孤独感に対する不安」について着眼し、AASによりVDT作業状況を伝達し、作業者同士がこれにより相互の活動状況を理解しあいながら作業を行う時、作業者の行動特性がどのように変化するかを明らかにする。
 本研究が既往研究と異なる点は、以下の二点である。第一点は、作業内容や作業時間帯に対する統制をゆるめ、被験者の自由度を増す点である。第二点は、長期間にわたって相互の状況伝達を行う点である。これらにより、より日常に近い状態のVDT作業時におけるAASの効果を検証する。

3. 研究方法
3.1 AASのシステム概要について
 VDT作業におけるキーボード入力とマウスの移動を1秒間隔で検知し、その間にこれらの入力があった場合、これをネットワーク上のログサーバに「0(入力なし)」または「1(入力あり)」で記録する。
 これを記録するタイミングで、他者の作業状況をサーバから取得する。他者の作業熱中度は、問い合わせのあった時刻から30秒前までのデータにおける「入力あり」のデータ数で定義することとした。つまり、「入力あり」のログ数をΣIとするとΣI/30で定義され、この値をエフォート(E)とするとEは0から1の範囲で値をとる。Eが、0、0<E≦1/3、1/3<E≦2/3、2/3<E≦1の時をエフォートレベル(El)とし、それぞれEl=0、1、2、3 とした。
 他者の作業状況はElに基づいて決定される。使用した音は水琴窟の音響をサンプリングしたものを用い、無音を含め水滴音の鳴る回数の少ないものから順に4段階の音を用意し、相手のElに対応づけられた音がVDT作業環境に再生される。
 以上の事項を実現するソフトウェアを開発し、本研究ではこれを用いた。

3.2 被験者・実験日時・場所・教示
 被験者は日常的にVDT作業を行っている20代の男女を対象とした。いずれも大学の同じ研究室に属する者であり、極端に生活習慣が異なるものではない。ここでは自宅でのテレワークを想定してもらうため、VDT作業空間は各自の自室とした。期間は2007年7月〜10月の3ヶ月にわたって行われたが、不在時、あるいは極端にVDT作業の行われなかった日を除き、合計で30日間のデータ(AASなし15日間・AASあり15日間)を取得した。被験者には紙面で実験内容を教示し、研究内容への理解を統一できるよう配慮した。

3.3 実験内容
 被験者は各自の作業環境にAASを導入し、相互に作業状況を伝達できる状態で日常のVDT作業を行ってもらった。
 なお、今回の実験では作業内容や作業時間帯についての統制は行わなかった。

4. 実験結果
 実験結果を表4.1と4.2に記す。
 表中の表記について、「入力数」とは「入力あり」の合計数、「ID1 El=1」とはID1の被験者がEl=1であった時間数、「共通El 1」とは両者のElがともに1である時間数とした。
 また、「重複時間数」とは両者がともにEl≧1である時間数であり、「重複指数」とはID1の入力数をA、ID2の入力数をB、重複時間数をCとすると、C/(A+B-C)で定義されるものであり、これは0から1で値域を持ち、両者の作業時間の重複率を示すものである(1に近い方がより重複している)。
 「エフォートレベル差」とは、同一時間帯における両者のElの差の絶対値の総和であり、「エフォートレベル差指数」はこれを86400(秒)で除したものである。「エフォートレベル差指数」は0から3までの値域を持ち、平均的なエフォートレベル差を示すものである(3に近い方が作業に対する熱中度の差が大きい)。
 エフォートレベル差指数については図4.1と4.2にそのヒストグラムを記した。

5. 分析・考察
5.1 重複時間数について
 表4.1と4.2の「重複時間数」について着目する。検定の結果、AASなしとAASありとの間に有意な差はみられなかった(P=0.859)。既往研究において、高度に統制された状況下における被験者であっても重複時間数には有意な差がみられなかったが、今回の実験においても同様に、AASが作業時間帯の重複を促す効果は低いと考察される。また「重複指数」について、これもAASなしとAASありとの間で有意な差はみられなかった(P=0.458)。
 AASなしとAASありとの間に減少傾向がみられるが、これはAASによって「協調」ではなく「反目」を生んでいる可能性も否定できない。これについて被験者に聴取を行ったところ、「意図的に反目したつもりはない」との回答を得たが、この点については今後「協調」と「反目」とを区別する方法をふまえた実験方法を検討し、分析手段を講じなければならないと考えられる。

5.2 エフォートレベル差について
 「エフォートレベル差」に着目すると、検定の結果、AASなしとAASありとの間で有意な差はみられなかった(P=0.151)。「エフォートレベル差指数」についても同様に優位な差は見られなかった(P=0.301)。既往研究においては「エフォートレベル差指数」に有意な差が現れたが、今回の実験では差がないという結果になった。また、「エフォートレベル差指数」については、優位差が見られなかったことと、図4.1と4.2に見られるように、いずれもはっきりとした山が現れることがなかった。
 これらはいずれも今回の実験では統制がほとんどなく、作業時間帯もばらばらになりがちであったことが関係していると考えられる。

6. まとめ
 今回の実験ではこれまでの研究と異なり、被験者への統制をほとんどかけることのない自由度の高い環境でのAASの効果を見るものであった。結果的に、今回のように自由度が高すぎるとその影響でAASによる効果は薄くなることがわかった。テレワークにおいて環境情報操作による行動統制を期待するためには、拘束条件の設定が不可欠である。

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